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任意後見制度を利用する場合の注意点とは
高齢化社会が進む中、将来の判断能力低下の備えになる任意後見制度の重要性が増しています。
任意後見制度は自身の意思で後見人を選び、支援内容を決めることができますが、利用にあたってはいくつか注意点があります。
本稿では、司法書士の視点から任意後見制度利用時の重要な注意点について解説します。
任意後見制度とは
任意後見制度は、自分が未来に判断能力が失われることに備えて、事前に信頼できる人を後見人を指定し、委任する事務を決めておく制度です。
この制度を利用することで、自分が判断能力を失っても、自分の意思を尊重した財産管理や法的な対応を受けることができます。
任意後見制度利用時の注意点
任意後見制度は判断能力を失う前に決めておきたいですが、いくつか注意点があります。
1. 任意後見人の選定
任意後見人を誰にするかは、この制度の要となる重要な要素です。
信頼できる人物を選ぶことが大切です。
親族がまず候補に浮かぶかもしれませんが、信頼できる専門家を選ぶことも検討しましょう。
2. 委任事務の明確化
任意後見契約では、後見人に委任する事務を明確に決める必要があります。
財産管理や身上保護など、どの範囲までの権限を与えるのか慎重に検討し、契約書に明記することが重要です。
3. 任意後見監督人の選任
任意後見制度を始める際に、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。
監督人は、任意後見人の業務を監督する立場です。
非常に重要な役割を担うため、適切な人物が選ばれるよう、事前に候補者を検討しておくことをおすすめします。
監督人の役割
監督人の役割は主に以下の通りです。
- 任意後見人の事務執行状況の確認
- 不正行為の防止
- 家庭裁判所への定期的な報告
4. 契約内容の定期的な見直し
任意後見契約を締結した後も、定期的に契約内容を見直すことが大切です。
生活環境や資産状況、後見人との信頼関係の変化に応じて、委任事務の範囲や条件を修正する必要が出てくる場合があります。
5. 本人の意思確認
任意後見制度は、本人の判断能力が低下した際に発効しますが、その判断は慎重に行う必要があります。
医師の診断書や家族の意見参考にしつつ、本人の意思をできる限り尊重することが大切です。
まとめ
任意後見制度を利用する際の注意点について解説しました。
この制度は、将来的に自分の判断能力が失われる不安への、有効な対策手段です。
しかし、適切に活用するには、専門的な知識と複雑な手続きが必要ですので、専門家に相談することをおすすめします。
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