Case対応事例
遺産分割の調停・審判で紛争を解決した後に相続登記(不動産の名義変更)をしたケース
裁判所を介した手続を経ればあとはスムーズに行きます
遺産分割がまとまらない原因は沢山あります。単純に昔から相続人間の仲が悪い場合,相続開始と共に財産の分配割合でモメはじめる場合,亡くなった方の生前のお世話を相続人の内の1人のみが長年続けていた場合、生前に相続人の1人に多額の財産の贈与があり他の相続人から異議がでる場合,自分の財産だと思っていた不動産の名義が亡くなった方の名義だった場合などです。
遺産分割協議がまとまらない場合,そのまま放置するか,裁判所を利用した手続をとるか選択しなければなりません。
遺産分割には,『裁判』というものはありません。
『調停』か『審判』手続きとなります。
2つの違いは,簡単に言うと,『調停』とはあくまで話し合って和解をするということで,『審判』とは事情を総合的に判断した裁判所が内容を決定してしまうことです。
なお,遺産分割においては,調停前置主義(まず先に調停を申立てなければならない制度のこと)がとられていません。したがって,理屈としては審判を始めから申立てることもできますが,実際の裁判所の取り扱いとして,まず調停に付される取扱いがなされます。事実上の調停前置主義と考えておけばよいです。
上記のような手続を経ると,『調停調書』や『審判書』を受取ることになります。そして,この書面を利用して不動産の名義変更登記(相続登記)を行うこととなります。
この場合,通常の遺産分割協議書を利用しての相続登記とは異なり,他の相続人の印鑑証明書や実印の押印は不要です(それが無理だから調停や審判を経たのですから当然です)。したがって,調停や審判が終了した後は,他の相続人の関与なくしてスムーズに不動産の名義変更(相続登記)を行うことができます。
ただし,審判で終了した場合は,審判が確定していることを証明する『審判確定証明書』を裁判所に請求し出してもらわなければなりません。この書面が登記手続きで必要となるからです。
私が担当した案件は,調停がまとまらず,審判で終了したものでした。したがって,審判書と確定証明書を準備し登記手続きを行いました。