Case対応事例
認知症の方の子が知的障害で財産管理ができないケース
『私は管理できませんので,任せられて安心です』
『お母さんの認知症が進行し施設に入りましたが,私は母の通帳などの管理ができません』
知的障害をお持ちの娘さんが,ご本人(お母様)が入所している施設の施設長やケアマネージャーさんへ相談されました。
そのケアマネージャーさんと私は,他の後見業務で知り合いになっていました。
連絡を頂いた私は,施設に直接伺い,娘さんとお話をしました。
娘さんは,会話もしっかりでき,こちらが話した内容も理解されてはいましたが,軽度の知的障害から,込み入った内容の話になるとなかなか話が進まなくなる状態でした。また,ご本人(お母様)の通帳管理等の財産管理や介護関連の契約等の事に対する自信がなく,第三者に任せたいという思いもお持ちでした。
そこで,娘さんに成年後見人選任申立ての申立人になっていただき,書類の収集等の全ての手続きを,委任を受けた私が進めることにしました。
医師の診断書も後見相当の診断がおり,戸籍等を集め申立書を家庭裁判所へ提出し無事選任手続きを終えることができました。
この娘さんは,まだ50代と若いのですが,将来だけでなく現時点においても不安を抱えていらっしゃったため『第三者に任せられたので,これで安心です』とおっしゃっていただきました。
今回は,娘さん,施設長さん,ケアマネージャーさんからご連絡をいただき手続きが始まり無事成年後見人が選任されたケースでしたが,認知症のご本人さんの子が,知的障害を持っているか否かに関わらず,子が親の年金や生活保護費を引き出すケースに結構な割合で遭遇します。
子が親の年金や生活保護費に頼る生活を長年続けていると,社会的に自立できない生活スタイルが確立されてしまいますし,年齢を重ねるにつれて就職も厳しくなっていく現実も見てきました。
成年後見制度は,認知症等になったご本人だけの制度ではなく,ひいてはご家族の健全な人生の為にも役立っているものだと感じています。